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United States Housing
White Paper 5月 2026

住宅セクターへの分散 投資がもたらすリスク・リターンの向上

決して一様ではない米国住宅市場地域・所得・人口動態によって細分化された複雑なエコシステム

要点

  • 米国住宅市場の需給バランスが次第に均衡から外れてきており、年齢層、地域、所得階層別で構造的な需給の乖離が生じています。
  • 供給の逼迫、人口動態の変化が市場の適応速度を上回るペースで需要の変化を生み出しており、住宅サブセクター全般に追い風をもたらしています。
  • これらのサブセクターは、足並みを揃えて変化するのではなく、金利の変動や経済成長などの要因に対して個別に反応するため、どのサブセクターもあらゆる市場サイクルで勝者になれる訳ではありません。
  • 住宅サブセクター間の相関関係が比較的低いことから、リスクを低減しつつリターンを高める効果があるため、住宅セクターに機関投資家による投資機会が生まれています。

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 住宅は米国の国内総生産(GDP)の中で最大の構成要素の一つであり、家計支出、投資、さらには金融システム全体における信用創造に至るまでさまざまな分野にまたがっています。しかし、住宅市場は決して一様ではありません。むしろ、米国の住宅市場は、地域、所得、人口動態によって区分される複雑なエコシステムになっています。

現在、米国住宅市場は近年で最も不均衡な状態にあり、約300万戸の構造的な住宅不足が生じています 。供給不足の背景には、新たに建設される住宅の不 足、土地区画規制、建設コストの増大があり、こうした要因が新規供給を抑制しているため、需給の急速な均衡回復は見込みにくい状況です。

需給不均衡の主な要因の一つは、初回購入者向けの「スターターホーム」が不足していることです。住宅建設は数十年にわたり不足状態が続いており、価格の急騰を招いています。特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後は、記録的な価格上昇が見られました。米国の住宅価格中央値は現在43万 6,000ドルを上回り、2019年2月と比べて5割以上値上がりしています 。この結果、新築住宅の購入には6年前の約2倍の所得が必要となっているほか、初回購入者の年齢中央値は同期間に33歳から40歳へと上昇しています 。


住宅取得能力(アフォーダビリティ)が大きく悪化したうえに、融資基準の厳格化や住宅ローン金利の高止まりが重なった結果、多くの潜在的購入者が購入を見送っている状況です。


こうした需給動向は一過性のものではありません。最も手頃な価格帯の住宅ほど、最も建設が難しく なっています。また、世帯形成は住宅完成件数を上回るペースで進んでおり、住宅価格は賃金を上回る速度で上昇しています。

その結果、米国では賃貸住宅に長く住み続ける人が増えており⁴、専用に設計された賃貸戸建て住宅を求めたり、持ち家取得への足がかりとなり得るプレハブ住宅へと関心が移行したりしています。さらに、アフォーダビリティの制約に加え、賃貸により得られるライフスタイルや資金面の柔軟性を選好する 人々も増えています。一方で、高齢化の進展がシニア向け住宅の需要を押し上げており、大規模な主要大学への入学者数増加が、学生寮への需要を押し上げています。

複数に分かれた市場

米国の住宅市場全体に共通して同様の需給動向が見られる一方で、さまざまな住宅セグメントが足並みを揃えて動くわけではない点に留意が必要です。集合住宅、アフォーダブル住宅、ビルド・トゥ・レント、シニア向け住宅、学生寮、プレハブ住宅には、それぞれ固有の需要要因があり、経済的要因に対する反応も異なります。

これまで投資家は、米国住宅市場へのエクスポージャーを個別のサブセクターや戦略を通じて獲得してきまし た。しかし、これら住宅セグメント間のリターン相関が比較的低く、GDP成長に対する感応度が異なっていることは分散されたアプローチの利点を示しています。さまざまなサブセクターにまたがって資産配分を行うことにより、リターンの向上、ボラティリティの低減、ダウンサイドプロテクションといった効果が期待できます。

図表1:多様な相関関係

米国住宅市場の6つのサブセクターはGDP成長に対して異なる反応を示しています

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米国住宅市場の6つのサブセクターはGDP成長に対して異なる反応を示しています

出典:GDPは、連邦準備制度経済データ(FRED)から取得(20265月時点)。サブセクターデータはグリーン・ストリートの商業用不動産収益指数(CPRI)より取得(アフォーダブル住宅についてはブルックフィールドの社内算出による)。

例えば、プレハブ住宅はGDP成長との相関が最も低いサブセクターの一つです。居住者の移動性が低く価格感応度が高いという特性に支えられ、景気低迷期でも入居率や賃料が安定的に推移する傾向があります。また、シニア向け住宅など人員配置の負荷や運営の複雑性が高いサブセクターと比べて、オペ レーティングレバレッジも相対的に低い水準にあります。その結果、プレハブ住宅とシニア向け住宅の間の相関は限定的にとどまる傾向が見られます。

一方で、従来型の集合住宅は、経済成長との相関性がより強い傾向にあります。堅調な労働市場と賃金上昇が需要と賃料の伸びを支えており、特に大都市圏でその傾向が顕著です。こうした動きは、テクノロジー産業や金融セクターの成長が入居率と賃料の双方を押し上げているニューヨークやサンフランシスコといった市場で明確に見られます。

学生寮はその中間に位置付けられます。景気悪化局面では賃料の伸びが抑制される可能性がある一方 で、労働市場が軟化すると入学者数が増加する傾向があるため、需要自体は底堅く推移します。その結果、当該サブセクターはGDP成長との相関が中程度で、他の住宅タイプとの相関は総じて低いという特性を持ちます。

こうした違いは、投資家がサブセクター間で積極的に資産配分を行う機会を生み出しています。プレハブ住宅など、ディフェンシブな性質を持つセグメントは、景気にストレスが掛かる局面でアウトパフォームする可能性がある一方で、集合住宅など、景気に対してより敏感なサブセクターは景気回復初期に有利になる傾向があります。

図表2:変化するリターン動向

住宅サブセクターはマクロ経済環境に対して異なる反応を示しています

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住宅サブセクターはマクロ経済環境に対して異なる反応を示しています

出典:GDPは、連邦準備制度経済データ(FRED)から取得(2026年5月時点)。サブセクターデータはグリーン・ストリートの商業用不動産収益指数(CPRI)より取得(アフォーダブル住宅についてはブルックフィールドの社内算出による)。

GDP成長は、経済全体の状況を示す有用な代理指標として機能しており、これが住宅セクターの各セグメントにおける需要と新規供給の双方に影響を及ぼします。

例えば、2000年代半ばの不動産バブル期には、開発活動が戸建住宅と集合住宅に集中する一方で、プレハブ住宅の供給が減少しました。また、 2020年にも同様の動きが見られ、低い住宅ローン金利とパンデミックに起因した需要の高まりが郊外での住宅建設を加速させる一方、他のセグメントを低迷させる形となりました。

図表3:住宅在庫の推移

住宅全体の供給は限定されていますが、建設される住宅の種類は景気サイクルによって変化します

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住宅全体の供給は限定されていますが、建設される住宅の種類は景気サイクルによって変化します

 出典:グリーン・ストリート『2026年アパートメントセクター年次見通し』(アパートメント)、ムーディーズ・アナリティクス商業用不動産データハブ(2026年5月時点、シニア向け住宅・学生寮)、CoStar(2026年5月時点、アフォーダブル住宅)、米国コミュニティ調査およびIPUMS USAに基づくブルックフィールドの社内算出(2026年3月時点、モバイルホーム・戸建賃貸)。

住宅全体の供給が引き続き制約を受ける一方で、新規開発される住宅の種類は景気サイクルによって変化し続けています。

近年では、パンデミック直後の運営状況の低迷を一因として、シニア向け住宅および学生寮の建設が減速しました。その一方で、住宅取得能力の悪化の影響を受けて賃貸市場にとどまる世帯が増加したことから、集合住宅の開発が加速しました。もっとも、新規供給物件の引き渡しに伴い、一部の市場では賃料の伸びが鈍化しているものの、現在は建設活動が落ち着きを見せつつあります。

また、純営業収益(NOI)の伸び率や、そのボラティリティの違いも、住宅サブセクター間での分散投資の有効性をさらに裏付けています。

図表4:異なる変動性

純営業収益(NOI)の伸び率は住宅セグメントによって変動が大きくなることがあります

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純営業収益(NOI)の伸び率は住宅セグメントによって変動が大きくなることがあります

出典:セクターデータはグリーン・ストリート(2026年5月時 点)より取得(アフォーダブル住宅はCoStarより取得)。同一物件のNOI成長率に基づき算出。

こうした動きを結びつけている要因は、米国住宅セクターに見られる構造的な不均衡、すなわち供給制約、持続的な需要、新規開発に対する大きな参入障壁にあります。

このような環境下では、住宅サブセクター間のばらつきは今後も続く見込みです。投資家にとっては、セグメント間で資産配分を行い、規模の優位性、運営の専門的知見、各地域の市場に関する洞察を活用しながら、各セグメントに対するエクスポージャーを臨機応変に調整していくことで、よりレジリエンスの高いポートフォリオを構築する機会となります。

従来型集合住宅

米国住宅市場の需給の不均衡を理解する最も明確な方法の一つは、賃借人の人口動態に着目することです。端 的に言えば、賃借人は高齢化し、より裕福になっています。Zillowのレポートによれば、現在では賃借人の37%が自宅に子どもと同居しており、その割合は2022年の 29%から増加しています⁵。

図表5:世帯の富裕化

持ち家世帯に比べて、賃借世帯の資産がより速いペースで増加

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持ち家世帯に比べて、賃借世帯の資産がより速いペースで増加

出典:米国コミュニティ調査(2026年3月)、IPUMS USAに基づくブルックフィールドの社内算出(2006年を100として指数化)。

本来、市場に「スターターホーム」が安定的に供給されていれば、これらの世帯の多くは住宅を購入し、都市中心部から周辺地域へ移住し、通勤時間と引き換えに広い住居を得ていたはずでした。しかし実際には、こうした世帯が集合住宅により長く居住し続けています。特に雇用環境が強く、オフィスへの出社が再開している都市部でその傾向が顕著です。

図表6:需要の増加と供給不足

住宅取得能力の悪化により賃借人が増加する一方、集合住宅の着工件数は減少

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住宅取得能力の悪化により賃借人が増加する一方、集合住宅の着工件数は減少

出典:FRED(2025年11月時点、チャート1)、CoStar(2025年時点、チャート2)。

また、「ライフスタイル型賃借人」の増加も見られます。これは、本来頭金に充てるはずの資金を投資に回しつつ、住宅ローンを持たないことで得られる移動の柔軟性を享受する若年専門職層を指す言葉です⁶

ニューヨークやサンフランシスコでは、主要産業で働く人々のオフィス回帰に伴い、集合住宅の賃料が高騰し、空室率が低下しています⁷。また、他の住宅分野と同様に、建設コストや金利の上昇により新規アパート開発の資金調達が厳しさを増しており、既存物件の賃料上昇を引き起こすとともに、大規模運営会社が投資や運営改善を通じて価値を高める機会になっています。

集合住宅の投資妙味は大都市に限られるものではありません。多くの産業で賃金の伸びが抑制される一方、食料品から医療費に至るまで、生活コストが急上昇しており、頭金の貯蓄が難しくなっています。さらに、金利上昇や融資基準の厳格化もあり、米国全体で賃貸に留まる期間が延び、別の住宅形態を模索する動きが広がっています。

アフォーダブル住宅

近年の住宅コストの急騰と、米国経済の多くの分野における所得の伸びの鈍さが相まって、公式に「アフォーダブル」と指定された集合住宅への需要が高まっています。この集合住宅セグメントでは、一般に賃料が地域の所得中央値(Area Median Income)の一定割合に制限されるか、政府による補助を受ける形となっています。需要の主な担い手は、賃料相場の負担が難しい労働者層の世帯です。

一方で、このサブセクターにおける供給は制約を受けており、その大きな要因として、建設コストの上昇により、開発業者が大都市圏市場における高価格帯物件に開発を集中させていることが挙げられます。現在、地域の所得中央値の50%以下の所得水準にある賃借 人については、住宅を必要とする100世帯当たり、アフォーダブル住宅はわずか54戸しか供給されていません⁸。

ビルド・トゥ・レント(BUILD-TO-RENT)

賃貸を目的として設計・建設される住宅は、米国住宅市場において重要な役割を担っており、賃貸物 件を必要とするかそれを望む世帯に対して、手頃な価格の戸建住宅の選択肢を提供しています。

多くの場合、ビルド・トゥ・レントのコミュニティは、価格に敏感な世帯が本来であれば手の届かない地域に居住することを可能にし、裏庭や追加の寝 室、良好な学校環境、安全な近隣環境といった望 ましい居住条件へのアクセスを提供しています。 実際、この種の住宅に居住する賃借人のおよそ85%は、当該物件を購入する経済力を有していません。

米国住宅市場を再形成する構造的要因を踏まえる  と、ビルド・トゥ・レント住宅がもたらす機会は極めて大きいと言えます。その背景に、賃借人の人口が住宅購入者の人口に比べて3倍のスピードで増加しているという事実があります9

図表7:供給の逼迫

販売用住宅戸数は歴史的水準を大きく下回り、住宅着工件数も低迷

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販売用住宅戸数は歴史的水準を大きく下回り、住宅着工件数も低迷

出典:米国国勢調査局、モルガン・スタンレー・リサーチ(チャート1)。米国国勢調査局(チャート2)、2025年8月時点。

このタイプの住宅に対する需要は構造的かつ持続的なものです。多くの世帯が戸建住宅が提供する設備や居住環境を求め続けていても、住宅ローン金利や住宅価格の高止まりにより、住宅購入が困難な状況にあるためです。

これだけの需要があるにもかかわらず、当該サブセクターでは供給が制約されており、建設コストおよび資金調達コストの上昇により、今後1年間でビルド・トゥ・レントの新規供給は55%減少すると見込まれています。

こうしたポートフォリオの運営は複雑であり、居住者体験の向上に投資できる資本力を有する大規模運営会社が有利となり、入居継続率および入居率の向上に役立ちます。

シニア向け住宅

米国の人口は、史上かつてないペースで高齢化が進んでいます。最も年長のベビーブーマー世代は今年で 80歳を迎え10、米国の80代人口は2040年までに2倍以上に増加する見通しです11。こうした世代は資産を蓄積しているうえ、寿命も延びており、シニア向け住宅に対する需要を押し上げる要因となっています。

一方で、新規建設は需要の伸びに追いついていま せん。実際、2030年までには、シニア向け住宅の供給は予想される需要の3分の1も満たさない12と見込まれており、このサブセクターへの投資妙味を高めています。

図表8:押し寄せる高齢化

米国の80代人口の急増に伴い、シニア向け住宅の供給は需要増加に追いつかない見通し

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米国の80代人口の急増に伴い、シニア向け住宅の供給は需要増加に追いつかない見通し

出典:米国国勢調査局(チャート1)、NIC MAP(チャート2)、モルガン・スタンレー(2024年6月)。

高齢者が生活するコミュニティの運営は複雑であ り、経験豊富な運営会社によるきめ細やかな運営管理が重要です。また、住戸の設備改良や共用スペースの近代化といった改善は、入居率の向上を促し、適切に運営される場合にはさらなるアウトパフォーマンスにつながります。

グリーン・ストリートは今後数年間にわたるNOIの2桁成長を予測しており、シニア向け住宅は現在の不動産市場の中でも最も有望な分野の一つとなっています。

学生寮

学生寮は、大学進学者数そのものではなく、学生がどの大学を選択するかによって再形成されつつあります。米国全体の大学入学者数がほぼ横ばいにと どまる一方で、需要は特定の大規模な公立大学群に集中する傾向が強まっています。とりわけ南東部では、充実したキャンパス文化や主要なスポーツプログラム、温暖な気候が全国から学生を引きつけています。

この傾向は、「パワー・フォー」と呼ばれる、米国大学スポーツにおいて規模の大きい4つのカンファレンスに所属する大学群において顕著であり、一部の主要州立大学では州外出身の学生が学生全体の40~50%以上を占めています13。そのため、追加的な住宅需要が生まれ、地域の供給能力が追いつかない状態にあります。

図表9:公立大学への集中

サウスイースタン・カンファレンス(SEC)やビッグ・テン・カンファレンス所属大学で大幅な入学者数の増加

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サウスイースタン・カンファレンス(SEC)やビッグ・テン・カンファレンス所属大学で大幅な入学者数の増加

出典:リアルページ・マーケット・アナリティクス、米国教育省国立教育統計センター、統合高等教育データシステム(IPEDS)(2024年11月)、米国経済分析局、セントルイス連邦準備銀行(2026年5月)。

2015年から2025年の間に、学生寮の着工件数が約75%も減少した一方で、賃料は30%以上上昇しており14、市場の需給逼迫が進行していることは明らかです。こうした状況は今後も続く見通しです。多くの主要大学市場においては、専用に開発された学生寮が学生全体の半数にも満たない人数しか受け入れられておらず、残る需要は築年数の古い物件や、機関投資家が保有するような品質水準・運営レベルを備えていない物件によって賄われています。

その結果、高い成長が続く大学市場では、需要が旺盛で持続的であるにもかかわらず、構造的な供給不足が生じています。

また、学生寮には反循環的な特性も見られます。経済の不確実性が高まる時期には、スキル強化や雇用機会の向上を目指して学校に戻って学び直す動きが強まり、入学者数が安定または増加する傾向があります。労働市場が軟化する時期でも、このような動きが入居率や賃料の伸びを下支えします。

機関投資家にとっては、入学者数の増加が続き、供給が制約されている市場に、専用の学生寮を保有・運営するという魅力的な投資機会が生じます。加えて、予見可能な賃貸サイクルと安定したキャッシュフローがこれを後押しします。

プレハブ住宅

プレハブ住宅コミュニティは、誤解されることがよくあります。多くの人がこのサブセクターに対して連想する古びた「モバイル・ホーム・パーク」というイメージとは異なり、実際には、クラブハウスやプール、共有の緑地スペースなどの設備を備えた、良好に維持管理され、専門的に運営されたコミュニティが増えています。また、多くの場合、居住者には住宅そのものを所有しつつ、家が建つ土地を賃借する選択肢があり、安定的でコミュニティ指向の居住環境が形成されています。

さらに、これは米国において最も手頃な住宅形態の一つでもあり、プレハブ住宅の月額負担総額は、戸建住宅と比較して約45%低い水準となっています15。こうしたアフォーダビリティの利点を背景に、需要が持続的に拡大しており、当該サブセクター全体で高い入居率と安定的な賃料上昇が見られます。

一方で、新規供給は過去10年以上にわたりほぼ皆無に近い状況が続いています。土地区画規制や土地不足、許認可の難しさから、新規コミュニティの開発が難しく、既存物件の多くも機関投資家以外の主体によって所有されています。
 

その結果、当該サブセクターは、持続的な需要を背景としつつも、所有構造が細分化され供給が制約された状況にあります。

また、インフラの改修や設備の充実、専門的な管理体制の導入といった狙いを定めた運営改善により、居住者体験が向上するとともに、入居率の改善および長期的な価値創出が可能であることが判明しています。

米国住宅市場は多くの市場からなる

米国の住宅市場は、世界で最も機関投資家の参入が進んだ市場であり、国内GDPのおよそ18%を占め、その規模は日本経済に匹敵します。この約5兆ドル規模のエコシステムは、ニーズに基づいた安定した需要によって支えられています。同時に、持続的な供給制約と市場環境の変化により、資本の投資先や配分方法は再形成され続けています。

住宅は、不動産とインフラ双方の特性を併せ持っています。すなわち、不可欠な安定的需要と比較的安定した収益構造を持つ一方で、地域ごとの市場動向や経済環境の変化からの影響も受けます。

また、住宅は複数のセグメントから構成されていま す。図表が示すとおり、これらのセグメント間でパ フォーマンスに大きな差異が見られ、市場サイクルの局面によって、パフォーマンスでリードするサブセクターと出遅れるサブセクターが入れ替わります。

図表10:リーダーの交代

いずれの景気サイクル下でも一様に勝者となる住宅サブセクターはなく、分散投資が有効

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いずれの景気サイクル下でも一様に勝者となる住宅サブセクターはなく、分散投資が有効

出典:グリーン・ストリート商業用不動産リターン指数(ただし学生住宅は2022年までグリーン・ストリート、2022~2025年はブルックフィールドの社内計算)、戸建賃貸とアフォーダブル住宅はブルックフィールドの社内算出。表示されているリターンは資産ベースで算出されており、レバレッジ、手数料、費用、投資タイミングおよび資産構成等の影響により、ファンドレベルのリターンは大きく異なる場合があります。

このようなばらつきを踏まえると、マルチセクター型の分散されたアプローチは、米国住宅市場へのエクスポージャーを得る上でバランスの取れた方法となります。


こうしたアプローチにより、相対的に強い分野への投資機会を取り込みつつ、より景気に敏感なセグメントへのエクスポージャーを緩和することが可能になります。単一のリターン源泉に依存するのではなく、構造的需要、人口動態のトレンド、そして積極的なポートフォリオ管理の組み合わせによってリターンが形成されるため、景気サイクルを通じてより一貫したパフォーマンスが期待できます。

脚注

  1. JPモルガン(2025年)
  2. Redfin『全米住宅価格は1月に上昇に転じ、西海岸では下落の兆し』(2019年2月)、Redfin.com(2026年5月)
  3. 全米不動産業者協会『2025 年住宅購入者・売却者プロファイル』(2025年11月)、CBRE『米国住宅アフォーダビリティ危機からの脱却』(2025年8月)
  4. Redfin『賃借人入居期間の長期化』(2024年9月)
  5. Zillow『賃借人向け消費者住宅動向レポート』(2025年10月、2022年7月)
  6. Arbor  Realty『ライフスタイル型賃借人が「アメリカン・ドリーム」に新たな側面を付与』(2025年1月)
  7. ブルームバーグ・ニュース『マンハッタンの住宅探しにおいて過去最高水準の賃料と入札競争が発生』(2025年8月)、ニューヨーク・タイムズ『AIブーム下のサンフランシスコにおける賃貸住宅事情』(2025年10月)
  8. 全米低所得者住宅連合『理想と現実の乖離:アフォーダブル住宅の不足』(2025年3月)
  9. Redfin『賃借世帯数が持家世帯数の約3倍のペースで増加中』(2025年11月)
  10. ピュー・リサーチ・センター『最高齢のベビーブーマー世代が2026年には80歳に』(2026年1月)
  11. ハーバード大学住宅研究共同センター『米国高齢者の住宅事情』(2023年)
  12. NIC MAP(データサービス)(2025年第1四半期)
  13. 大学の転校、居住地別入学者数(2025年11月)
  14. CoStar(2025年)
  15. ジョー・バーカディア、セントルイス連邦準備制度経済データ経済データ(FRED)、ビジネス・インサイダー、フォーブス

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