Renewable Power & Transition Outlook: Scaling Power to Meet Relentless Demand
2026 年の主要テーマ
- 世界の電力需要は、デジタル化・電化・工業化の三つの潮流が重なり合うことで、供給を上回るペースで加速しています。
- 電力は世界の成長のボトルネックになっており、戦略上の必須事項となっています。企業や政府は、エネルギー安全保障と国内供給をこれまで以上に重視しており、再生可能エネルギー、原子力、ガスへの投資強化に加え、送電網インフラストラクチャーのアップグレードを進めています。
- 将来の電力需要を単独で満たすことのできる技術は存在しません。この前例のない需要増に対処するには、「総動員型」アプローチが不可欠です。具体的には、世界の多くの地域で最も低コストの電源である再生可能エネルギー(経済的優位性と導入の速さ)、柔軟性を提供する蓄電池、規模と信頼性を担う原子力、そして安定性をもたらす天然ガスに重点を置
く必要があります。これらの技術を並行して拡大していくには、今後10年以上にわたって巨額の投資が求められます。
わずか数年のうちに、電力は世界各国で戦略的優先事項へと上り詰めました。いまや電力は、政府と企業の双方にとって成長のボトルネックになっています。
エネルギーは、今後の経済発展を決定づける要因となります。製造業から人工知能に至るまで、今日の主要な経済機会のほぼすべてにわたり、エネルギーは最も重要な前提条件となっています。AI が経済のほぼすべての分野を変えてしまうような生産性の向上をもたらす可能性を秘めていることも、エネルギーを国家と企業の競争力の中心的存在へと押し上げています。十分な電力が確保されなければ、そうした生産性向上や将来の成長・競争力が危うくなります。
再生可能エネルギーのコストは劇的に低下し、風力発電・太陽光発電・蓄電池の構築が急速に進んでいます。しかし、世界の電力システムは急増する需要に依然として追いついていません。多くの国では天然ガスが重要な解決策の一部を担っていますが、その拡大も資源的な制約や必要なインフラストラクチャーの不足によって制約されています。その結果、電力需要の増加に対応するための安定的な電源として、多くの国が原子力に再び目を向けています。
基本的に、増大する電力需要を満たすための必要技術はすでに揃っています。現時点における制約は、この需要に追いつくだけのスピードで投資と開発を拡大できるかであり、適切な能力と資本アクセスを備えたプレーヤーにとって大きな価値創出の機会が生まれています。
私たちの2026 年の見通しは、昨年の見通しを形成したのと同じファンダメンタルズが基本にありますが、投資環境は重要な点で進化しています。
需要は加速しており、世界の電力網に大規模なエネルギーソリューションを提供できる企業にとって機会が拡大しています。新規発電能力への投資においては、コスト、市場投入までのスピード、エネルギー安全保障が主要な優先事項となっています。
世界が「総動員型」のエネルギーソリューションを必要としていることを反映し、2025 年の世界の電力投資は3.3 兆ドルに達する見込みであり、その60%超が再生可能エネルギー、蓄電、送電網最適化向けとなっています6。
Owning Change in a Transforming World
This piece is included in our 2026 Investment Outlook Report, which is anchored by insights from the CEOs across our global platform.
エネルギーは明確な戦略的優先事項
エネルギー需要は、次の3 つの強力な潮流によって形づくられています。第一に、各国がエネルギー自立を追求する「脱グローバル化」の潮流。第二に、AI やデータストレージの拡大により、信頼性の高い電力需要が増大する「デジタル化」の潮流。第三に、産業が電化を進め、持続可能な成長に向けて投資を行う「脱炭素化」の潮流です。これらはいずれも、低コストで信頼性が高く、かつ大規模に供給できるエネルギーを、これまで以上のスピードで確保するという同じ方向に向かって加速しています。
成長を実現し、進化する経済に参画するために、政府と企業は重要なサプライチェーンを国内回帰させ、国内エネルギー源に大規模な投資を行っています。特に、低炭素エネルギーシステムは最も安価で安全な電力を提供することから、経済的な要因からも投資が一段と強化されています。世界の大企業は、競争力を維持するために、低コストで短期間に供給開始でき、規模の拡大が可能な電力を求めており、電力会社や送電網といった仲介業者への依存を減らし、エネルギーサプ
ライヤーと直接連携する動きを強めています。こうした動きは、2026年も、そして次の10 年にわたっても続くと予想します。
電力への飽くなき需要
ここ数年間で最も重要な変化は、デジタル化とAI の急速な普及によって電力需要が急増していることです。
データセンターの建設は電力需要の中で最も急速に拡大している分野であり、世界の電力需要を大きく変える存在となっています(図表3 参照)。そして、予測のスピードに追いついていこうと躍起です。BloombergNEF は、米国のデータセンター向け電力需要が2035 年までに106GW に達すると予測しており、わずか7 カ月前の予測から36% も上方修正しています7。また、Amazon、Google、Microsoft、Meta のハイパースケーラー4 社だけで、データセンター向けクリーンエネルギー契約の約90% を占めています8。
Figure 1: Data Centers Are the Fastest Growing Demand Driver
Source: BloombergNEF
"Four hyperscalers—Amazon, Google, Microsoft and Meta—now account for around 90% of global clean energy contracting for data centers."
当社でも、これらの企業との契約が過去2 年足らずのうちに倍増していることを確認しており、電力需要の予測は今後も上昇を続けるとみています。ただし、データセンターが最も急成長している需要源である一方で、電化と工業化の広範な発展が、2050 年までの電力需要増の70% 超を占める最大のボリュームドライバーとなっています⁹。世界の主要国の再工業化、資本財・運輸など主要セクターの電化、そして新興市場に広く見られる都市化の進展が、今後数十年にわたって発電容量への持続的な需要増加を生み出します。
新興市場では電力需要が特に深刻な課題となっています。これらの国々ではかつてないペースで工業化が進んでおり、エネルギー安全保障が国家的な必須課題となっています。中国を除く新興市場では、電力需要が世界で最も速いペースで伸びているにもかかわらず、電力セクターへの年間投資額のうち、これらの国々が受け取るのはわずか20% にすぎません10。これら新興市場では、再生可能エネルギーのコスト優位性が、補助金や短期的な政策変更に依存しない成長の持続的な基盤となっています。
「総動員型」エネルギーソリューション
企業と政府は今、低コストでクリーンかつ信頼性が高い電力を、大規模に、そして迅速に確保するという共通の目標に向かって力を結集しています。今後の世界経済を力強く支えるには、多様な電源を組み合わせた「総動員型」エネルギーソリューションを、プライベート投資によって拡大させていく以外にありません。
再生可能エネルギーがコスト面と
スピードで優位に
再生可能エネルギーは、新規電源として最も低コストで、最も迅速に導入・拡大できる電源としての地位を維持し続けています。太陽光発電と風力発電が新規建設プロジェクトのパイプラインの中核を成しており、企業・電力会社との長期インフレ連動型オフテイク契約によって支えられています。
私たちは、再生可能エネルギーが2026 年以降も新規発電容量の最大シェアを占め続けると考えています。国際エネルギー機関(IEA)は、2026 年までに太陽光と風力が世界の電力の約20% を供給すると予測しています。これは10 年前のほぼ5 倍に相当するものです。再生可能エネルギーの発電容量は、2030 年までに倍増すると見込まれています。
最近の報道では、政策優先順位の変更を背景に再生可能エネルギー投資の減速見通しが報じられています。しかし実際には、これらの技術が持つ基本的な優位性と、企業からの電力需要の増加が投資を押し上げており、その勢いが衰える兆しはありません。実際、この動きは米国で最も顕著で、最近の政策変更にもかかわらず、再生可能エネルギーへの需要は過去最高水準に達しています。
一部のプロジェクトや企業は、過去1 年間に起きた米国の政策変更からの影響を受けていますが、ブルックフィールドのように規律あるアプローチを取り、大規模な資本や優良プロジェクトへのアクセスを持
つ企業にとっては、むしろ機会が増大しています。規模と実行力を備えた多くの大企業は、プロジェクトをセーフハーバールールで管理することで今後10 年間にわたる税額控除を確保しており、想定リターンを維持しています。そして、こうした税額控除が段階的に縮小された後も、再生可能エネルギー技術は供給開始までのスピードとエネルギー安全保障という経済的優位性によって自立性を維持し続けるでしょう。
蓄電が24 時間のクリーン電力を実現
蓄電池は、風力や太陽光を24 時間稼働の電源へと変え、電力の信頼性を高めるため、エネルギー需要を満たす上での中心的な存在になっています。2016 年以降、コストはおよそ95% 低下しており12、再生可能エネルギーや従来型火力発電と並行して、大規模な導入が可能になっています。
蓄電池は、クリーンエネルギーの24 時間供給を可能にするだけでなく、電力需要の増加やエネルギーミックスの変化によって生じる混雑や断続状態に対する電力網の安定化という重要なサービスも提供します。こうした課題への解決策として、2026 年には系統連系型蓄電への投資がさらに増加すると見込まれます。特に、太陽光発電と蓄電池を同一地点に併設する「ソーラー+ストレージ」開発が、新規発電容量の有力モデルとして台頭してきています。米国では、2026 年までに稼働予定のユーティリティ規模の蓄電設備の半数以上が太陽光と組み合わされています13。
2030 年までに、世界の蓄電池需要は、経済性の改善と電力網のニーズの進化を反映し、数年前には実現可能と思われていなかった水準の2 倍に達すると予測されています(図表4 参照)。
Figure 2: Batteries Have Become the Cornerstone of Power Systems
Source: BloombergNEF
原子力の復権
原子力エネルギーは、大規模なカーボンフリーのベースロード電源として不可欠であり、世界各国はエネルギー戦略や政策を策定する中で、原子力への注目を一段と高めています。米国政府は、2030 年までに10基の新設原子炉の建設を開始することを戦略的優先事項とし14、最近では、この計画を推進するために少なくとも800 億ドルを投じる予定であると発表しました。これは、ブルックフィールドが2017 年から所有する原子力技術のリーダー、ウェスチングハウスと連携して進められるものです。英国、ポーランド、チェコ、ブルガリアなども新規原子炉建設を進めており、世界各国で既存原子炉の運転期間延長や停止中原子炉の再稼働が進んでいます。このように原子力が再び脚光を浴びることで、規制面での支援や資本アクセスの改善が進み、投資意欲の回復につながっています。
私たちは、今後数十年間で数百ギガワット規模の新たな原子力発電施設が必要になるとみています。ウェスチングハウスを通じて、今世紀に入ってから例を見ない規模での原子炉建設の進展を目の当たりにしておりますが、これにより新規発電所の建設のみならず、数十年にわたる燃料供給やサービス要件の確保といった分野にも投資機会が出現しています。
天然ガスとカーボンキャプチャーは重要な調整役
天然ガスは、エネルギー需要を満たし電力網を安定させる上で、引き続き重要な役割を果たしています。電力需要の急増が原子力の復権を後押しする一方で、天然ガスについても同様の傾向が見られ、とりわけ国内に豊富な天然ガス資源を持つ市場においては顕著です。
さらに、二酸化炭素回収・貯留(CCS)の経済性が高まりつつあり、天然ガスと組み合わせることで、よりクリーンで信頼性が高く、柔軟性のあるエネルギーソリューションを提供できます。世界初のカーボンキャプチャーによる脱炭素化ガス発電所であるエントロピー社のグラシエCCS施設15などのプロジェクトは、CCSの商業的な実現可能性をさらに示すものであり、天然ガスが移行期にありながらも不可欠な電源であるという位置づけを強固なものにしています。
その他の脱炭素化技術で選択肢が拡大
発電分野を超えて、電化が難しいセクターに向けた新たな脱炭素化技術が次々と登場しています。合成燃料(e-fuel)は、航空、海運、長距離輸送といった分野の排出削減に向けた有望な選択肢を提供します。ブルックフィールドがインフィニウム社と共同で進めている合成燃料プロジェクトは、航空会社や物流企業に低炭素燃料を供給するもので、こうしたソリューションが商業規模に移行しつつあることを示しています。また、グリーン水素や高度なリサイクル技術も、高温熱や複雑な原料を必要とする重工業分野の排出削減を後押ししています。これらの技術は、再生可能エネルギーや蓄電を補完し、排出抑制が難しいセクターにおける脱炭素化の選択肢を広げています。
系統の制約への対応
電力会社や系統運営会社は、送電網への大規模な投資を計画しています。2024年だけでも、送電網が追加の電力に対応できるようにするために、過去最高となる3,900億ドルが投じられました16。しかし、それでもなお需要を満たす上で、系統接続は最大の障害の一つであり続けると予想しています。こうした状況は、送電網の混雑を緩和する蓄電池の利用拡大や、送電網に依存せずに容量を追加できる分散型電源の増加を後押しすることになるでしょう。
今後を見据えて
これからのエネルギー投資には、「総動員型」のアプローチが求められます。将来の需要はあまりに大きく、既存技術も十分に確立されているため、ゼロサムや勝者総取りの構図にはなり得ません。政府や企業と連携し、多様なエネルギーソリューションを提供できる投資家は、この流れを最大限に活用することができる立ち位置にあります。
規律ある資本配分がますます重要になっています。なぜなら、こうした環境下でリターンを確保するには、あらゆる形態のインフラストラクチャー投資で成功するために必要な基本原則に忠実であることが不可欠です。具体的には、信用力の高い相手先と長期契約を締結し、ファンダメンタルズに立脚した技術の提供を実施するということです。過去の成長局面と同様に、政策インセンティブが平常化し競争が激化するにつれ、こうした特性こそが、持続的な価値創造を景気循環的な成長と区別することになります。
このような環境下では、史上最大規模のエネルギー設備構築を実現することで、規律ある経験豊富な事業者に大きな価値を獲得する機会があります。
Endnotes
- IEA, “World Energy Investment 2025,” June 2025.
- BloombergNEF, “AI and the Power Grid: Where the Rubber Meets the Road,” December 1, 2025.
- S&P Global, “2025 Corporate Renewable Energy Update,” February 2025.
- BloombergNEF. Data shows net growth from 2024, not including legacy demand.
- IEA, “Growth in global electricity demand is set to accelerate in the coming years as power-hungry sectors expand,” February 14, 2025; IEA, “World Energy Investment 2025,” June 5, 2025.
- IEA, “Electricity Mid-Year Update 2025,” July 2025.
- Bloomberg NEF.
- Deloitte, “2026 Renewable Energy Industry Outlook,” October 2025.
- World Nuclear News, “Trump sets out aim to quadruple US nuclear capacity,” May 24, 2025.
- Entropy Inc. website, as of November 2025.
- BloombergNEF, “Global Investment in the Energy Transition Exceeded $2 Trillion for the First Time in 2024,” January 30, 2025.
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