Credit Outlook: Discipline Is an All-Weather Strategy
2026 年の主要テーマ
- プライベートクレジットは資産クラスとして成熟化が進む中、インフラストラクチャー、不動産、アセットベースドファイナンスといった分野で成長が加速しています。
- 投資成果が借り手、セクター、担保、構造的差別化に依存するようになっているため、リターンのばらつきが拡大する可能性があります。
- 魅力的な投資機会を見極めるには、資産の質とクレジットファンダメンタルズに焦点を当てた規律あるアンダーライティングが不可欠です。
2026 年に向けて、クレジット市場はレジリエンスを示す一方、慎重姿勢も必要であることを示しています。数年間にわたる高水準の政策金利と金融環境の引き締めを経て、パブリッククレジットとプライベートクレジットのスプレッドは縮
小傾向にあります。それでも、クレジットファンダメンタルズは概ね堅調であり、プライベートクレジットに対する投資家の継続的な投資意欲は、この資産クラスへの信頼感と、分散型ポートフォリオにおけるその役割を裏付けています。
市場ノイズを乗り切る
クレジットは流動性のあるプライベート市場全体にわたり依然魅力的ですが、投資家はこの先1 年間は慎重姿勢を維持する必要があります。資金が潤沢でスプレッドがタイト化する環境下では、クレジットファンダメンタルズとリスク管理に立脚した規律あるアンダーライティングがこれまで以上に重要になります。プライベートクレジットや銀行のバランスシート上のローンにおける散発的なクレジットストレスが最近報道されていますが、システミックなデフォルトの波を示す証拠は見られません。
とはいえ、こうしたデフォルトは、クレジット投資家が下方リスクの抑制と資本保全に注力すべきであることを改めて思い起こさせてくれます。流動性が豊富な時期には、経験豊富な投資家の規律とスキルがデフォルトリスクを軽減する上で極めて重要になります。
同時に、クレジット投資家は市場のボラティリティを好機と捉えています。こうした局面では価格調整や市場の歪みが生じ、規律ある資本を有利な条件で投じることが可能になります。ドライパウダーと柔軟性を備えた運用会社は、他の市場参加者が後退する中で、安定と流動性を提供する立場に立つことができます。
Owning Change in a Transforming World
This piece is included in our 2026 Investment Outlook Report, which is anchored by insights from the CEOs across our global platform.
不動産クレジット:流動性の解放
現在の市場環境は、高利回りの不動産クレジット投資に望ましい状況を生み出しています。たとえば、不動産クレジット市場では流動性が過去最高水準に達し、取引額も増加しています。2025 年のCMBS発行額は1,200 億ドル超のペースで推移しており(図表9 参照)、2007 年以来の高水準となっています。CMBS はプライベート不動産クレジットの重要指標であり、現在の発行ペースは市場の厚みが回復していることを反映しています。また、大幅な価値の見直しを経て、不動産エクイティのバリュエーションは依然として過去のピークを約17% 下回っており、クレジット投資家は資本構成の中でも安全
性の高い参入機会と魅力的なバリュエーションに恵まれています。さらに、今後2 年間で約1.9 兆ドルのローンが満期を迎える一方、2025 年に組成されたローンは、その期間に満期を迎えるローンよりも約150 ベーシスポイント高い利回りで組成されています34。
Figure 1: Real Estate Runs on Credit and Markets Are Experiencing Recent Record Liquidity
Source: Trepp, September 2025.
こうした環境下で、オルタナティブレンダーと保険会社は、8 兆ドルを超える規模の商業用モーゲージ市場でシェアを伸ばしています。一方、銀行のローン組成は、近年後退が見られたものの、銀行の重点は大規模なバックレバレッジの提供者となることや、共同組成プラットフォームを通じてプライベートレンダーと協働する方向へと移行しています。これらはオルタナティブレンダーを補完し、強化する戦略です。米国に比べて銀行の市場シェアがほぼ2 倍に達する欧州では、市場の進化に伴い、特に資本構成のシニア部分において、オルタナティブレンダーにとって魅力的な機会が広がっています。
住宅は依然として確信度の高いセクターですが、その背景として、米国では約400 万戸の住宅が不足しており、住宅完成戸数も前年比で22% 減少しているという深刻な構造的供給不足があります35。オフィスから住宅への転換や住宅建設業者向けファイナンスといった機会は、こうした持続的な需要に直接応えるもので、特定市場で投資家に差別化された高利回りのエクスポージャーを提供します。
オフィスセクターにも一部に戦術的な上昇余地が見られます。価格は2022 年のポストコロナ期のピークから40% 下落し、優良物件は15% のプレミアムを維持し、新規供給も限定的です。こうした状況は、ファンダメンタルズが急速に改善し、信用力指標も魅力的になりつつあるセクターへのエクスポージャーを求めるレンダーには追い風となっています。不動産は対象が千差万別のセクターであり、物件単位・地域単位での綿密な調査が求められますが、現在の市場環境は、規律ある不動産クレジット投資を実行する上で、過去10年以上で最も魅力的な局面の一つになっています。
"Real estate credit markets are experiencing recent record liquidity and rising transaction volumes, with 2025 CMBS issuance on pace to exceed $120 billion, the highest since 2007."
インフラストラクチャーデット:桁外れの投資機会
インフラストラクチャーの見通しは引き続き有望です。借入コストの低下により、リファイナンス条件や取引活動は改善しており、適度なインフレもこのセクターにとって追い風となっています。多くのインフラストラクチャー資産は、インフレを価格に転嫁でき、需要も安定しているため、実質(インフレ調整後)リターンについても他の多くの投資に比べて優位に維持できる傾向にあります。
インフラストラクチャーは、参入障壁の高さ、予測可能なキャッシュフロー、インフレ耐性を備えたエッセンシャルビジネスとしての防御的特性を示し続けています。こうした特性は、自然と低いデフォルト率
と高い回収率につながります(図表10 参照)。長期契約によるキャッシュフローに裏打ちされた実績ある稼働済資産に焦点を当て、未検証の技術や大規模で複雑な建設から生じるリスクといった領域を避けることで、投資家はダウンサイドプロテクションを維持することができます。インフラストラクチャーのプライベートクレジットは、景気循環の影響を受けにくいエッセンシャルセクターへの効果的な分散投資手段であり、パブリック市場のハイイールド債発行で十分にカバーされていない領域でもあります。現在の環境では、インフラストラクチャーデットは魅力的な直接利回りを提供し、堅固なインカムと魅力的なリスク調整後リターンをもたらします。これは、マクロ環境が
変化する中で持続的な優位性となります。
今後を見据えると、デジタルインフラストラクチャーとエネルギーインフラストラクチャーの資金調達、とりわけ強固なカウンターパーティーとの長期契約に支えられ、電力・冷却・コンピュート能力に巨額投資を必要とするAI 関連データセンターが、成長の重要なドライバーとなるでしょう。世界のAI インフラ需要が今後10 年間で7 兆ドルを超えると見込まれる中36、投資家はインフラストラクチャーデットを通じて、持続的でインフレ耐性のある利回りを捉えることができます。
Figure 2: Strong Underlying Assets Can Result in Lower Defaults and Higher Recoveries
Source: Moody’s Infrastructure Default and Recovery Rates, 1983-2022.
Non-financial corporates represent loans to parent corporations, not supported by a specific collateral pool of assets.
コーポレートクレジット:量より質
レバレッジドファイナンスと投資適格債市場の発行は、リファイナンスとリプライシングが中心です。パブリック市場とプライベート市場におけるクレジットスプレッドは、過去15 年超と比較して歴史的にタイトな水準にありますが、ダイレクトレンディングのプライベートデットには依然として約150 ベーシスポイントのプレミアム37 が確保されており、競争が激化する中でも非流動性プレミアムを求める投
資家需要が続いていることを示しています。
ダイレクトレンディングとハイイールド債のデフォルト率は、2024 年と2025 年には歴史的な平均水準で推移し、世界金融危機やコロナ禍のピーク時のデフォルト率を大きく下回りました。一方で、同期間には多くの金融機関や機関投資家向けに幅広くシンジケーションされるレバレッジドローン(BSL)のデフォルト率が上昇しました。相対的には、ダイレクトレンディングは依然魅力的とみていますが、現在の環境下では、規律あるクレジット選別を通じて警戒姿勢を強めています。
当社のコーポレートクレジットの見通しは、非投資適格のダイレクトレンディングと、投資適格のプラ
イベートクレジットを明確に区別しています。後者は、プライベート市場の柔軟性を求める信用力の高い投資適格企業へのエクスポージャーを通じて、特に魅力的なリスク調整後リターンを提供します。今後は、投資家がリスクプロファイルを維持しつつ(あるいは改善しつつ)スプレッドの上乗せを追求する中で、より高いクレジットクオリティを重視する戦略に一段と資金が流入すると予想しています。
アセットベースドファイナンス:次の局面に向けたポジショニング
アセットベースドファイナンス(ABF)は、再び市場の注目が高まる局面に入りつつあり、魅力的な投資機会が開かれる可能性があります。消費者向けセグメントでは、貸し手がクレジット環境の変化や投資家と規制当局による精査に対応するため、アンダーライティング基準の厳格化が見込まれます。その結果として構築されるポートフォリオは、より強固なクレジットファンダメンタルズ、低い延滞率、健全な超過スプレッドを示す可能性が高くなります。こうした環境下においては、規律あるデータ主導のアンダーライティング、掘り下げたファンダメンタル分析、厳格なサービシング監視、そして優良資産への選択的な資本投下を重視するプラットフォームに有利に働きます。
同時に、今後見込まれる利下げがモーゲージ市場の再活性化を促すきっかけになる可能性があります。借入コストの低下は、住宅市場全体で貸出の増加と取引の加速につながるとみられます。組成、証券化、資産運用を統合した垂直型の戦略的モーゲージプラットフォームは、オペレーティングレバレッジと多様な収益源の恩恵を受けられる立場にあります。こうしたエンドツーエンドのモデルは、ローン組成からセカンダリーマーケットでの活動まで、モーゲージのライフサイクル全体で価値を取り込むことができます。
当社は、あらゆる市場環境下で魅力的なクレジット機会の特定に注力し続けていますが、高度な技能を有する資産運用会社にとって、市場の歪みが価値主導の参入機会になることも認識しています。アンダーライティングと資産選定に深い専門知識を持つ運用会社には、セクターの機会や、リスク・リターンの非対称性がある領域を特定する備えがあります。
投資の規律
クレジットスプレッドがタイトになり、マクロ経済の不確実性が散見される環境下で、規律は防御姿勢であると同時に優位性にもなります。ファンダメンタルバリュー、慎重なアンダーライティング、そして投資家との長期的な利害を重視しながら、一貫した運用を続ける運用会社は、同業他社と比較して魅力的なリスク調整後トータルリターンを実現できる立場に立つことができます。
活発な市場環境の恩恵を受ける不動産クレジット、長期契約に支えられたインフラストラクチャークレジット、強固なファンダメンタルズを持つディフェンシブな企業へのコーポレートレンディング、あるいは日々の経済活動の領域に広がるABF など、プライベートクレジットは分散型ポートフォリオの重要な構成要素として成長が見込まれます。これからの1年を乗り切る鍵は、選別力と柔軟性を維持することにあります。
Endnotes
- Greenstreet CPPI, October 2025.
- S&P, September 2025.
- Cushman & Wakefield, Q2 2025.
- Brookfield internal research.
- Pitchbook Leveraged Commentary and Data, September 2025.
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